引き継ぎなしで請求・入金の担当になったら:最初の2週間でやる5つのこと(まだ入金されていない請求の見つけ方つき)
前任者のフォルダを開いても、どれが最新の請求書かわからない。通帳には入金が並んでいるけれど、どの請求の分なのかもわからない。引き継ぎ書は、ない。
このままだと、期日を過ぎた未入金があっても、誰も気づかないかもしれません。気づくのが遅れた分だけ、先方への確認も遅れます。
最初から全部わからなくて当たり前です。この記事では、引き継ぎなしで請求・入金の担当になった人が、最初の2週間でやることを、5つの手順に分けました。
| 日にち | やること |
|---|---|
| 1〜2日目 | 手がかりを集める |
| 3〜4日目 | 取引先の一覧を作る |
| 5〜7日目 | 直近3か月の請求と入金を突き合わせる |
| 8〜10日目 | 遅れている請求を、社長に報告してから連絡する |
| 11〜14日目 | 毎週の確認を決める |
日にちは目安です。ほかの仕事と並行で進めてください。
目指すのは、「誰に・いくら・いつまでに払ってもらうのか」と「まだ入金されていない請求はどれか」がわかる状態です。手元にある請求書の控えと通帳(またはネットバンキング)から始められます。
会計ソフトの仕訳や税金の処理は、この記事では扱いません。そちらは顧問の税理士さんがいれば、早めに相談してください。
最初の2週間の目標は、2つだけ
前任者のやり方をそのまま再現しようとしなくて大丈夫です。
最初の2週間は、お金の流れが止まらないことだけを目標にします。具体的には「出すべき請求書が出ている」「入るはずのお金が入っているかわかる」の2つです。
やること1(1〜2日目): 手がかりを集める。中身はまだ読まなくていい
まず、請求と入金の手がかりになるものを、1か所に集めます。
| 手がかり | どこにありそうか | わかること |
|---|---|---|
| 請求書の控え | 会計ソフト・請求書のソフト、共有フォルダ、前任者のパソコン、紙のファイル | 誰に・いつ・いくら請求したか |
| 入金の記録 | ネットバンキングの明細、通帳 | 誰から・いつ・いくら入ったか |
| 契約書・注文書 | 紙のファイル、メール | 締め日・支払日などの約束 |
| 前任者のメール | 会社のメール(見られる場合) | 取引先とのやり取り、問い合わせ中の件 |
前任者のパソコンやメールを見てよいかは、社長など上の人に確認してから進めてください。
この段階では、中身を読み込まなくてかまいません。「どこに何があるか」がわかれば十分です。
やること2(3〜4日目): 取引先の一覧を作る(列は5つ)
請求書の控えから、毎月(または定期的に)請求している取引先を書き出します。一覧には、次の列を作ります。
- 取引先名
- 締め日(何日までの分をまとめるか)
- 支払日(いつ払ってもらうか)
- 先方の担当者・連絡先
- メモ
締め日・支払日がわからないとき: 過去の入金から読み取る
契約書が見つからないときは、過去の請求と入金を見比べると、だいたいの約束が見えてきます。
| 請求日 | 入金日 |
|---|---|
| 2026年8月31日 | 2026年9月30日 |
| 2026年9月30日 | 2026年10月30日(金) |
| 2026年10月31日 | 2026年11月30日 |
この例なら、「月末締め翌月末払い」らしい、とわかります。2026年10月31日は土曜日なので、その前の金曜日(10月30日)に払われた、と読み取れます。こうした「休みに当たったときの払い方」も、メモに残しておくと役に立ちます。2〜3か月分見て、同じ形になっていれば、ひとまずそれを書いておき、メモに「入金の実績から推測」と残します。あとで先方に確かめれば十分です。
やること3(5〜7日目): 直近3か月の請求と入金を突き合わせる
いよいよ「まだ入金されていない請求」を探します。手順1・2で集めたものを使って、請求1件につき1行の表を作ります。
- 直近3か月分の請求書の控えを見て、請求日・取引先・請求額を1行ずつ入れる
- 手順2の締め日・支払日から、支払期日を入れる(Excel の式で出す方法は、「20日締め翌月10日払い」の支払期日を Excel で自動で出すで紹介しています)
- ネットバンキングの明細を見て、入金があった請求の行に、入金日と入金額を入れる
- 入金日が空欄の行のうち、支払期日を過ぎているものに印をつける
なぜ3か月かというと、全部の過去を追いかけると終わらないからです。まず直近の分で「今、遅れているもの」を見つけ、古いものは落ち着いてから少しずつ確かめます。
突き合わせのとき、次のようなことが起きることがあります。
- 金額が少しだけ少ない: 振込手数料を引かれていることがあります。どう扱うかは会社の決まりによるので、メモに書いて社長に確認しましょう
- 2件分がまとめて入っている: 合計金額が合う請求の組み合わせを探します
- どの請求の入金かわからない: 無理に決めず、メモに「不明」と書いて残します
やること4(8〜10日目): 遅れている請求は、社長に報告してから連絡する
期日を過ぎた未入金が見つかっても、すぐに先方に連絡するのは待ってください。前任者がすでに話をしている、支払いを待つ約束をしている、ということもあるからです。
- 見つけた未入金を、取引先・金額・期日の一覧にして、社長(または上司)に見せる
- 「この取引先は事情がある」などの情報をもらう
- 連絡してよいものだけ、先方に確認する
担当が変わったことを伝えるのを兼ねると、自然に確認できます。下の文はそのままコピーして使えます。
いつもお世話になっております。このたび、〇〇(前任者)に代わり、請求とお支払いの窓口を担当することになりました〇〇と申します。
〇月〇日付の請求書(〇〇円)につきまして、こちらで入金の確認ができておりません。行き違いでしたら申し訳ございません。
あわせて、御社の締め日とお支払日を念のため確認させていただけますでしょうか。
締め日・支払日を、ここで一緒に確かめられるのがポイントです。
前任者の処理に間違いらしきものを見つけた場合も、責めたり自分だけで直したりせず、まず社長に報告しましょう。会計ソフトの数字に関わるものは、税理士さんに相談するのが確実です。
やること5(11〜14日目): 毎週の確認を、3つの決まりにする
最後に、これからの「型」を決めます。
- 請求書を出したら、その日のうちに表に1行入れる
- 入金があったら、その行に入金日と入金額を入れる
- 毎週決まった曜日に、入金日が空欄で期日を過ぎた行がないか見る
これを続けていれば、次に担当が変わるとき、あなたが今回困った「手がかりがない」状態にはなりにくくなります。表の置き場所と、毎週の確認の曜日をメモに残しておきましょう。
期日を過ぎた行を自動で赤くする方法は、Excel で支払期日を過ぎた未入金を自動で赤くする方法で紹介しています。
2週間たつと、仕事はこう変わる
- 表ができていれば、「この取引先はいつ払ってくれるのか」に、前任者の書類を探し回らずに答えられる。 社長に聞かれても、表を見せれば伝わります
- まだ入金されていない請求が、一覧になっている。 何を確かめればいいかわからない、という状態から抜け出せます
- 先方への連絡が、社長と相談したうえでの連絡になる。 前任者との約束を知らずに催促してしまう心配が減ります
- 毎週の確認の曜日が決まっていて、その日に表を開けばいい。 次に担当が変わるときも、この表とメモを渡せます
今日やること: 1つだけ
「やること1」の表にある4つの手がかり(請求書の控え・入金の記録・契約書・前任者のメール)について、「どこにあるか」だけをメモに書き出してください。 中身はまだ読まなくて大丈夫です。場所がわかれば、明日からの手順が進められます。
「請求1件につき1行」の表を、作らずに始めたいとき
手順3・5で使う「請求1件につき1行」の表は、NeXA の Excel テンプレートの無料版でそのまま始められます。
- 無料版(BOOTH・20件まで): 請求額・支払期日・入金日・入金額を入れると、「入金済み」「一部入金」「未入金(期日前)」「期日超過」を自動で判定し、期日超過は赤くなります。直近の未入金を洗い出すところから試せます
マクロ(自動で動くプログラム)は使っていない、ふつうの Excel ファイルです。税金の計算はしません。会計ソフトの代わりではなく、請求と入金の確認を手助けするものです。
▼無料版のダウンロード(BOOTH)
(2026年11月上旬に公開予定です)
件数が増えたら、有料版もあります(note): (2026年11月上旬に公開予定です)
(NeXA 編集部)