一人経理で休めない人へ:請求と入金だけ「誰が見てもわかる」形にする3つの準備(休む前の3日間の手順つき)
「私が1週間休んだら、入金の確認は誰がするんだろう」
熱を出して寝ているのに、「あの請求書、出したっけ」「A社の入金、入ったかな」と気になって、休んだ気がしない。経理や事務をひとりで回していると、そんな日があるかもしれません。
実際、請求書を出し忘れると、入金が1か月先になることがあります。入金の遅れも、戻ってくるまで誰も気づかないかもしれません。
でも、仕事を全部引き継げる形にする必要はありません。この記事でやるのは、「請求と入金」だけを、誰が見てもわかる形にしておくことです。準備は3つだけです。
- 表を1枚つくる
- 期日を過ぎたものに、色をつける
- 「ここだけ見て」のメモを1枚書く
休めるかどうかは会社の事情にもよりますが、「自分がいないと何もわからない」状態は、少しずつ減らせます。どれも、いま使っている Excel やノートのままで始められます。
なぜ「請求と入金」だけでいいのか
ひとりで抱えている仕事は、たくさんあります。全部をマニュアルにしようとすると、それだけで何か月もかかり、続けるのが大変です。
そこで、最初は止まると困る仕事に絞ります。
| 仕事 | 1週間止まったら |
|---|---|
| 書類のファイリング | 戻ってからまとめてやればよい |
| 経費の精算 | 少し待ってもらえることが多い |
| 請求書を出す | 出し忘れると、入金が1か月先になることがある |
| 入金の確認 | 遅れに気づくのが遅れ、連絡が後手になる |
請求と入金は、止まるとお金の流れに直接響きます。しかも、毎月同じ形でくり返す仕事なので、「誰が見てもわかる形」にしやすいのが特徴です。
ゴールは、代わりの人が3つの質問に答えられること
ここでいう「わかる」は、代わりの人(社長、家族、ほかの社員など)が、説明を聞かずに次の3つに答えられる状態のことです。
- 今月、どこに・いくら請求したか
- そのうち、どれが入金されていて、どれがまだか
- 期日を過ぎているのはどれか
逆に言うと、この3つが担当の方の頭の中や、メールの中、付箋の中にあると、代わりの人は答えられません。
準備1: 請求と入金を、1枚の表にまとめる(列は7つ)
請求書の控え、ネットバンキングの画面、手帳のメモ。これらがバラバラだと、見る場所が多すぎて、代わりの人は追いかけられません。
請求したら1行、入金があったらその行に入金日と金額を書く、1枚の表にまとめます。列は、これだけで十分です。
- 請求日
- 取引先
- 請求額
- 支払期日
- 入金日
- 入金額
- メモ(先方に問い合わせ中、など)
ポイントは「メモ」の列です。「〇日に先方の田中さんに確認中」と書いておくだけで、代わりの人が同じ連絡を二重にしてしまうのを防げます。
準備2: 状態を、言葉と色で出す
表があっても、「入金日が空欄で、期日が今日より前」を見分けるのは、慣れていない人には難しいものです。
そこで、各行に「入金済み」「未入金(期日前)」「期日超過」などの状態を自動で出し、期日を過ぎたものは赤くしておきます。そうすると、代わりの人が確かめるのは「赤い行」だけになります。
作り方は、Excel で支払期日を過ぎた未入金を自動で赤くする方法で、コピーして貼れる式と5つの手順を紹介しています。
準備3: 「ここだけ見て」のメモを1枚つくる(4行で足ります)
表の置き場所がわからなければ、どんなにわかりやすい表でも使われません。A4 1枚、または表の一番上に、次のことを書いておきます。
- 表の置き場所: 例「共有フォルダ > 経理 > 請求入金管理.xlsx」
- 見る頻度: 例「毎週月曜に1回、赤い行がないか見る」
- 赤い行があったら: 例「ネットバンキングで、その取引先から入金があるか確かめる。入っていたら、その行に入金日と入金額を入れる(赤が消えます)。入っていなくて、金額が10万円以上なら社長に伝える。それ以外は戻ってから担当が連絡する」
- 触らなくてよいこと: 例「赤くない行と、請求書を出す作業は、戻ってから担当がやる」
最後の「触らなくてよいこと」が大切です。代わりの人に頼むことを「赤い行だけ確かめる」に絞ると、頼む側も頼まれる側も気が楽になります。
ネットバンキングを見てもらうとき
入金を確かめるにはネットバンキングを見る必要がありますが、ID やパスワードを紙に書いて渡すのは避けてください。社長など、もともと権限のある人に見てもらう、銀行の仕組みで閲覧だけの利用者を作れるか確認する、など、会社の決まりに沿った方法にしましょう。
表を見る人とネットバンキングを見る人が別になるときは、メモの「赤い行があったら」を「赤い行の取引先と金額を社長に伝え、入金を確かめてもらう。入っていたら、その行に入金日と入金額を入れる」のように、役割を分けて書いておきます。
休む前の3日間でやること
長めの休みを取るときは、次の順で準備しておくと安心です。
- 3日前: 休みの間に支払期日が来る請求を、表で確かめる。大きな金額のものは、メモの列に「〇日入金予定」と書く
- 2日前: 休みの間に出すべき請求書がないか確かめる。出せるものは先に出す。出せないものは、出す日と相手をメモに書く
- 前日: 代わりの人に「ここだけ見て」のメモを渡し、表を一緒に1回開いてみる(5分で十分です)
急に休むことになったときのために、「ここだけ見て」のメモは、ふだんから表と同じ場所に置いておくのがおすすめです。
完ぺきを目指さない
ひとりで回している方ほど、「ちゃんと引き継げる形にしなきゃ」と考えがちです。でも、最初から全部をそろえる必要はありません。
- まず請求と入金だけ
- まず「赤い行を確かめる」だけ頼む
- まず1回、短い休みで試す
試してみて困ったことがあれば、そこを足していけば大丈夫です。
3つの準備ができると、休みの日はこう変わる
- 熱を出した日も、「月曜に〇〇さんが赤い行を確かめてくれる」と決まっていれば、ファイルを開きに行かずに休みやすくなる。 気になっても、確かめる人と方法が決まっています
- 代わりの人から電話で聞かれることが減る。 表の場所と、赤い行があったときにどうするかが、メモに書いてあるからです
- 休み明けに、何から手をつけるかがはっきりしている。 入金があった行には入金日が入り、残っている赤い行とメモの列を見れば、休みの間に起きたことがわかります
- 急に休むことになっても、準備をやり直さなくていい。 メモをふだんから表の横に置いておけば、そのまま渡せます
今日やること: 1つだけ
「ここだけ見て」のメモの1行目、「表の置き場所」だけ書いてみてください。 まだ1枚にまとまっていなければ、いま請求を管理しているファイルや帳面の場所でかまいません。残りの3行は、明日で大丈夫です。1行目があるだけで、代わりの人は請求の記録にたどり着けます。
表を一から作る時間がないとき
ここで紹介した「1枚の表」と「状態の自動判定・期日超過は赤」を組み込んだ Excel テンプレートの無料版を用意しています。準備1と準備2を、作らずに始めたいときに使えます。
- 無料版(BOOTH・20件まで): 請求額・支払期日・入金日・入金額を入れると、「入金済み」「一部入金」「未入金(期日前)」「期日超過」を自動で判定し、期日超過は赤くなります。代わりの人に見てもらう練習にも使えます
マクロ(自動で動くプログラム)は使っていない、ふつうの Excel ファイルです。税金の計算はしません。
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(2026年11月上旬に公開予定です)
件数が増えたら、有料版もあります(note): (2026年11月上旬に公開予定です)
(NeXA 編集部)